オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
エンゲージメント
公開日:2020.3.19
2020年2月5日(水)、株式会社オウケイウェイヴ(以下、オウケイウェイヴ)主催のカスタマーサポート業務に関するイベントが開催されました。同社は、日本初・最大級のQ&Aサイト「OKWAVE」や、特許を有するFAQシステム「OKBIZ. for FAQ / Helpdesk Support」を運営しています。
2回目の開催となる今回は「ES&CS向上」(※)をテーマに掲げ、オウケイウェイヴとパートナー企業が出展。業務に役立つ各種ソリューションの展示やセミナーが行われ、会場は大変な盛り上がりでした。
今回は当日行われたES&CSに関するセミナーの内容についてお伝えします。
※ES:Employee Satisfaction=従業員満足度
CS:Custome Support=カスタマーサポート
最初の登壇者は株式会社アックスコンサルティング HRコンサルティング事業部 チーフコンサルタント 高見史弥氏(以下、アックスコンサルティング/高見氏)です。人材開発プラットフォーム「MotifyHR」のシステム提供などHR事業の経験と、長年、士業事務所の所長向けにコンサルティングを行ってきた実績から、「エンゲージメント」の基本とそれを高めることの重要性を説明されました。
アックスコンサルティング/高見氏
テーマ:組織エンゲージメントを高めるHRテクノロジー活用事例
私たちアックスコンサルティングは、士業の方々の経営支援やコンサルティングを30年以上行っています。採用や人材育成は士業業界でも悩んでいる方々が多く、弊社も数年前からHR事業にも取り組み始め、2019年、本格的に参入しました。今では士業以外の一般企業の方々にも材開発プラットフォームシステム「MotifyHR」を提供しています。
今日お話しする「エンゲージメント」は、特にこの2~3年で、日本でも注目されるようになってきた考え方です。しかしアメリカでは、10年ほど前からすでにHR用語として浸透していました。今日はなぜエンゲージメントを高めなくてはいけないのか、そして本イベントのテーマであるESの向上との関係についてご説明します。まずはエンゲージメントの基本からお話ししていきます。
ご存知の方も多いかもしれませんが、エンゲージメントは「愛着心」「愛社精神」「思い入れ」など、いくつかの言葉に訳されます。なかでも特に私が大切だと思っているのが、「自発的貢献意欲」という意味。これは会社の方向性と個人の目標が同じ方向を向いている状態を表していて、これが達成できていると「エンゲージメントが高い」状態と言えると思います。
では、なぜエンゲージメントが大切なのでしょうか。日本は今、人口がどんどん減り、同時に労働力の減少が危惧されています。就職は売り手市場となり、採用しても簡単に転職されてしまう状況で、採用において多くの問題が発生しているのです。
今までの日本では、人事部向けに提供されたHRサービスのほとんどが「採用」をサポートするものした。しかし先ほどお伝えした問題もあり、これからは今いる人たちを定着させ、新しい人材を少しでも早く戦力にすることが重要となってくるでしょう。
日本人のエンゲージメントは先進国の中でもかなり低いほうで、30%ほどです(2015~2016年のデータ)。熱意を持って積極的に仕事に取り組み、ワクワク・イキイキしながら、成果を出して組織に貢献しようとするような従業員の割合は、世界でもっとも少ないレベルにあるといえます。
そうなると、「人を採用する」ことよりも今、会社に在籍している人を「活かす」ことが企業の業績にも大きく影響してくると言えるでしょう。そうした背景から、人材の定着に効果的なエンゲージメントを高める施策や、従業員満足度(ES)を上げるための活動を実施する企業が非常に増えてきています。
ただし、従業員のエンゲージメントは高いものの、会社に対するパフォーマンスが伴わないというケースも最近では見られます。そう言った問題への有効な対策として、今後は「エンパワーメント」の改善も重視されていくでしょう。
私は昨年、ラスベガスで開催された、HRTechイベントに参加しました。HR先進国であるアメリカではすでに「会社へのエンゲージメントを高めるための仕組み」、さらに「個人のパフォーマンスを高めるエンパワーメント」、そして「チームマネジメントなどに注力したシステム」などが、多くの企業で取り入れられていました。
弊社も各企業様に従業員のエンゲージメントを高めるための支援をさせていただいています。そして、私たち自身も以下のようなことを実施しています。
・従業員とコミュニケーションを図る
・上司と部下の関係性を強化
・入社後の研修制度を充実させる
・マネージャーのスキルを上げる研修
なかでも簡単にできるのが、従業員同士が仲良くなったり、コミュニケーションを円滑にしたりする仕組み。やはり社内の人間関係が順調だとエンゲージメントも高まりやすいのです。だからこそ今、「メンター」「バディ」「ブラザー・シスター」など上司以外のサポートメンバーがつく体制を取り入れている会社も多いのです。
私たちは社内コミュニケーションをよりよくするための具体的な施策として、「OKWAVE GRATICA」を活用し、感謝を互いに伝え合っています。以前は紙のサンキューメッセージカードを使用していましたが、GRATICAの導入で忙しい時にも隙間時間で入力できますし、他の相手にも送りたいその時に「ありがとう」と伝えることができます。
また、このOKWAVE GRATICAは他の従業員も見ることができるので、採用前に見せて応募者に会社の実情を知ってもらい、入社前のギャップを埋めておき、早期離職につながりやすい「リアリティショック」(※)を防ぐという使い方もしています。
※リアリティショック:理想と現実のギャップによりショックを受けることを意味する。 この現象は入社や昇進、転勤など、職場環境が変わる人に多く起こる。
▼【HR BLOG】オウケイウェイヴに関する記事はこちら▼
▼感謝の言葉が自然に増える オウケイウェイヴの独創的な社内コミュニケーションとは?(前編)▼
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/interview_okwave/
▼世界のビール飲み放題!? 月曜日は午後から営業開始! オウケイウェイヴの独創的な社内コミュニケーションとは?(後編)▼
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/interview_okwave_2/
エンゲージメントの改善施策をお伝えしてきましたが、自社の従業員たちのエンゲージメント状態を知るにはどうしたらよいのでしょうか。それを見える化しているのが、私たちがご提供している「MotifyHR」です。エンゲージメントサーベイによってリアルタイムに従業員が感じていることを知ることができます。
少し宣伝っぽくなってしまいますが、「MotifyHR」はエンゲージメント以外にオンボーディングや1on1ミーティングなどにも使えるため、人材育成・コミュニケーションツールとしてもおすすめしています。その他、マネージャサポートなどの機能も備えた「人材開発プラットフォーム」です。
話を戻しまして、今はHRテックを活用して会社を楽しくし、人を活かして、定着させていていく時代です。興味はあるけれど、まだ未着手という方はぜひ、この機会にHRテックの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
労働人口が減少している昨今。従業員エンゲージメントの高い企業はそれだけで十分な競争力を持つことになります。従業員のエンゲージメントを高めることで、早期離職の防止し、そして会社の発展につなげることが大切です。
次に講演されたのは日本プロジェクトソリューションズ株式会社 樋口恵一郎氏(以下、日本プロジェクトソリューションズ/樋口氏)です。OKBIZ.(※)の作業・運用代行の経験から、FAQを通じていかにCSを高めることができるかを具体的な例とともにお話しされました。CSを高めるためのプロセス、考え方は従業員満足度(ES)を高めるためのそれに通ずるものがあります。ぜひこの内容をESアップのためのヒントにしていただければ幸いです。樋口氏の講演内容では、「ユーザー」向けの視点で話していますが、それを従業員に置き換えて考えてみてください。
※OKBIZ.:FAQ作成・評価・管理とお問い合わせ管理をワンストップで行い、顧客満足度の向上と業務効率化を実現するFAQ/お問い合わせ管理システム
https://okwave.co.jp/business/service/biz-faq-helpdesk/
日本プロジェクトソリューションズ/樋口氏
テーマ:顧客満足度をアップさせるFAQ構築~
“自己解決率”向上のためのFAQコンテンツづくりのコツ~
私たち日本プロジェクトソリューションズは、教育研修、マネジメントを専門とした会社で、多くのプロジェクトマネジメントの研修や支援などを行っております。人が会社に定着しない原因は、そのほとんどが人間関係ではないでしょうか。それは「上司のマネジメントがあまりうまくいっていない状況」とも言い換えられるかもしれません。そこで私たちは、プロジェクトマネジメントの資格取得などをおすすめしています。
私たちはクライアント様のプロジェクトの実行支援なども行っております。その中で仕事の合理化などを手掛けておりますが、労働力不足を補うための社内FAQの構築にも携わっています。またオウケイウェイヴさんが提供するOKBIZ.にかかわる作業や運用なども数多く手掛けてきました。
そもそもFAQとは、ユーザーから寄せられる質問を整理・分析して、知りたいことに対して的確な回答を「よくある質問」として用意し、ユーザーが自己解決できるよう促進するものです。ところが、「FAQを導入してもそれほど効果がない」という声も耳にします。
そこで、今回は高い自己解決率の実現をポイントに、FAQコンテンツづくりのノウハウについてお話しします。これからFAQを導入したいという方は、今日の話を聞いていただけると、明日からFAQコンテンツの作り方が変わるかもしれません。それによってきっとCSの質もESも向上するはずです。
さて、FAQを入れるポイントは、AnswerではなくQuestionです。ユーザーは答えではなく質問を探し、そこから答えを参照します。だからこそ、質問部分に気を遣わなくてはいけないのです。そのためにQuestion作りには多くのポイントがあるので、基本的な注意点をお知らせします。
【FAQコンテンツの事例】
「日本一の山は?」
人によって答えが異なってしまう。単語を補うことが大切
「日本一高い山は?」
これで一つの答えが導かれるはず。では、「山」を「土地」に替えてみる
「日本一高い土地は?」
何が高いが不明になってしまう
「日本一標高が高い土地は?」
これで文字数は増えるが答えが導かれやすい
上記のように言葉を尽くすと具体的でわかりやすく、ユーザーも質問を見つけ出しやすいはずです。さらにWeb検索でも引っ掛かりやすくなります。そして細かな質問にすることで回答がすっきりする傾向がありますが、「〇〇までどのくらい?」など、単語の足りない質問をよく見ますが、それでは具体的な答えを導き出すことはできません。例えば、
・どこの〇〇へ行きたいのか
・どこから行くのか
・何で行くのか
・知りたいのは時間?お金?
など、細かな設定まで予測した質問を作っていくことが重要となるのです。よくお客様に「長くなるのが嫌だ」ということを言われるのですが、その場合は単語を短くする方法を積極的に使うことをおすすめします。
また、「スマートフォン=スマホ」「スターバックスコーヒー=スタバ」など、しゃべり言葉と同じように短縮することはマナー違反ではないかと避けがちですが、顧客の満足度を優先するには短縮して単語の数を多くしてあげるほうがいいですね。どんどん使いましょうというのが私たちの考え方です。とにかくユーザー第一、そしてユーザー目線で考えるほうが具体的でわかりやすいFAQになります。
そしてもう一つ最近おすすめしているのが、「機種変→手続き」「ガラケー→スマホ」など、疑問符のない単語の羅列のようなFAQです。そもそもFAQは質問なので、そこは省いてもいいと思います。また、定型文を使う方法も単語を入れ替えるだけで多くの質問が作れるので、とてもよいと思います。
ここまでは個々の質問についてのお話をしましたが、FAQの全体的な問題として、質問をシリーズ化する手法も提案しています。例えば、「~できますか?」「~について」「~したいです」などのバラバラな文末を「〇〇を教えて」というシリーズにして、〇〇部分だけを変えていくという方法です。
他にもいろいろなテクニックがありますが、まずはFAQは質問部分が大切であること、ユーザー目線で具体的なQuestionを作ること、そして、複数のFAQの統一方法などをお伝えしました。ぜひ皆さまの会社のFAQも見直してみてください。
カスタマーサポート業務に特化したセミナーと関連ソリューション、今回のフェアではHR業界のさらなる発展を感じました。HR BLOG編集部では今後も多くのセミナー・イベントに参加し、皆さまへ多くの情報をお伝えしていきたいと思います!
この記事を書いた人